創業者は元市長でアイデアマン 今も残る「すぐやる課」

創業者の松本氏には、氏がアイデアマンであったことを物語る数々のエピソードが残されています。上述したカタカナ表記とした店名もその一つで、他に店舗に集客用の猿を展示したほか、空箱を積み上げて品ぞろえをアピールする陳列方法など、さまざまなアイデアを取り入れてきました。

そんな松本氏は、実は政治家としての顔も持っていました。1942年に古金町(現・松戸市)の町会議員となり、1947年に千葉県議会議員に当選。そして1969年に松戸市市長となります。松本氏は市長としての給与を返上し、薬局経営と並行して職務に当たります。

市長時代においても松本氏のアイデアは発揮されました。特に有名なものが「すぐやる課」です。当時は人口の急増で行政サービスが追いつかず、市民の不満が高まっていました。その状況を打開するため、松本氏が同課を発足させます。

すぐやる課は、「すぐやらなければならないもので、すぐやり得るものは、すぐにやります」の旗印の下、市民の要望を受けたら可及的速やかに対処する課として誕生しました。ひらがな表記としたのは、「小学生でも読めるように」という松本氏のアイデアが込められています。ユニークな取り組みは全国的に有名になり、全国の自治体に同様の課が多数誕生しました。

すぐやる課は、50年以上たった今も松戸市役所に存在しています。現在もハチの巣の駆除や道路上の放置物の撤去など、松本氏が残した精神を引き継いで業務にあたっています。