ヘッジ目的の適用範囲への解釈は議論の余地あり

6月27日の日本経済新聞朝刊に掲載されたコラム記事、「金融取材メモ」によると、約款にデリバティブ利用をヘッジ目的に限定する旨を明記しさえすれば、成長投資枠の基準を満たすことになりました。

しかも、それは投資信託会社が商品の運用実態を精査し、基準を満たすと判断したものを、成長投資枠に適合したファンドとして投資信託協会に申請し、投資信託協会は、申請されたものをそのままリストに載せるということで決着したとのことです。

うがった見方をすると、投資信託会社がヘッジ目的以外でデリバティブを使った投資信託を、約款にはヘッジ目的と明記し、投資信託協会に成長投資枠対象ファンドとして申請すれば、そのままリストに載ることになります。

もちろん、そのようなことをさせないために、金融庁は「約款でヘッジ目的を記載しながらデリバティブを他の用途で使っていることが判明した場合、金融庁は行政罰を辞さない構えだ」と、そのコラム記事にも書かれていますが、改めてヘッジ目的の適用範囲の解釈について、議論の余地を残す形になりました。

つみたて投資枠との整合性、どう図る?

それにしても、よく分からないのが、新NISAがスタートした時、つみたて投資枠で購入できる233本と、成長投資枠で購入できる約2000本の整合性を、どう図るのかということです。

6月22日の日本経済新聞朝刊に掲載された記事には、「公募投信は全体で約6000本ある。その中から投資初心者が扱いやすい投信をどう区分けするかが焦点だった」とあります。

これは成長投資枠で購入できる投資信託のことを指しているのですが、要するに成長投資枠で購入できる投資信託は、投資初心者でも扱いやすいものにするとなると、では、どうしてつみたて投資枠で購入できる投資信託は、233本しかないのか、という疑問につながります。

どちらも投資初心者を対象にした制度なのだとしたら、つみたて投資枠で購入できる投資信託を、現行の233本に限定しておく意味が分かりません。

全くの臆測ですが、つみたて投資枠の対象ファンドに関する制限はいずれなくなり、成長投資枠で購入できる投資信託との整合性が取られるようになるのではないかと思うのです。