日本銀行が先日発表したレポートによると、2022年中に行われた個人の外国為替証拠金取引(FX)の年間の取引高が、初めて1京円を超えました。本記事では、日銀が個人のFX取引に関心を持っている理由と、個人の取引高が急増した背景を解説します。
個人のFX取引が過去最高を記録
日本銀行が6月9日に発表した「日銀レビュー」のテーマは、「2022年を中心とした最近の個人FX取引」でした。同レポートによると、2022年中に行われた個人投資家による外国為替証拠金取引(個人FX取引)は過去最高を記録し、年間の取引高が初めて1京円を超えたということです。
株式や債券、各種デリバティブなど、さまざまな金融取引はありますが、その取引高が「京」の単位になるケースというのは、恐らくめったにないことです。
ちなみに2022年中における東証プライム市場の売買代金は605兆4162億円ですし、国内ETF市場の売買代金が70兆212億円、東証REIT市場の売買代金が14兆9986億円です。なお、金融取引で圧倒的な取引量を誇るのが債券市場で2022年中における公社債店頭売買高は、約4京4842兆2000億円でした。
ただ、これらの売買代金は個人ベースではなく、さまざまな機関投資家なども含めた数字です。たとえば4京4842兆2000億円の取引高を誇る国内公社債市場の取引参加者のうち、個人の取引高はごくわずかですし、それは株式市場も同じです。
その比較感からすると、個人のみで1京円を超える取引が行われている外国為替証拠金取引のすごさが分かります。