2023年になってエヌビディアの株価が急騰し、半導体メーカーとして初めて時価総額が1兆ドルを突破すると、2024年6月5日には3兆ドルに達した。この記事では、エヌビディアの株価が上昇している理由と、今後の注目点について解説する。
エヌビディアの時価総額が3兆ドルを突破
エヌビディア<NVDA>は2023年5月30日、買いが先行し、初めて400ドル台に乗せて時価総額が史上9番目の1兆ドル台となった。半導体メーカーとしてはエヌビディアが初めて1兆ドルの大台を突破した。
エヌビディアはNASDAQに上場しており、米国を代表する株価指数であるS&P500種株価指数やナスダック総合指数の構成銘柄となっている。その後も株価は堅調で、エヌビディアの2024年5月18日時点の時価総額は米国で3位となっている。
なお、エヌビディアはこの後も好調を維持し続けると、2024年6月5日の終値ベースで3兆ドルを突破。IT大手のアップルを抜き、世界2位の時価総額となった。
エヌビディアの株価が上昇している理由
エヌビディアは、世界有数の半導体メーカーである。といっても、パソコンやスマートフォンで使われるCPUではなく、GPU(Graphic Processing Unit)という、3D映像などの処理に特化した半導体を得意としている。
GPUは高付加価値で収益性が高く、その市場はここ数年で大きく伸びている。GPUはゲーム業界の主役であるが、複雑な処理が必要な自動運転も得意としているのだ。さらに、新しい波がAI(人工知能)である。
ChatGPTの登場で「すごい」と感じている人も多いだろうが、それを支えているのがGPUである。GPUは、これまで考えられなかったようなことを学習し、分析し、処理することにたけているのである。
今後、大きなブームとなる可能性を秘めたAIだが、どのような企業が存在感を高めていくのだろうか。ChatGPTを開発したOpenAIや、OpenAIに出資しているマイクロソフトは当然かもしれない。しかし、Googleも「Bard」というAIを発表している。
さらに、対話型AIだけでなく、画像や動画を生成するAIも急速に増えており、今後、多くのAIが普及していく可能性は高いだろう。今はChatGPTが有名でも、ChatGPTを開発している会社が長くもうけ続けられるかどうかは定かではない。そのような中、エヌビディアへの期待が高まっているのだ。
AIが世界をどう変えていくかを正確に予測することはできないにしても、「AIがたくさん使われるようになる」のであれば、エヌビディアはもうかるはずだ、という見方が増えているのである。
エヌビディアは半導体企業として初めて時価総額1兆ドルの大台に乗った。2020年には時価総額で初めてインテルを上回ったが、両社の差は大きく開いている。巨大ハイテク企業の中でも、時価総額でエヌビディアを上回っているのはほんの一握りだ。
問題は、エヌビディアのライバルがどれだけ早く追いつくことができるかだ。エヌビディアは、新世代のAI製品を動かす特殊な半導体の最大手メーカーである。ライバルはアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)やインテルなどである。AMDはマイクロソフトと協力し、AI向けの半導体事業を加速させている。そしてインテルは、半導体業界で何十年も維持してきた製造技術におけるリーダーシップを取り戻そうとしている。しかし、エヌビディアもまた、新しい製品やサービスを展開し続けることで、ライバルたちとの差を広げることになるだろう。