日経インデックスからの資金流出が目立つ

 

資金流出額トップ10では、日経平均株価を対象にしたインデックスファンドが目立った。1位の「日経225ノーロードオープン」からは、約389億円の資金が流出している。5月の日経平均株価は月間で2031円44銭(約7%)上昇し、2020年11月から2021年3月以来、2年2ヵ月ぶりに5ヵ月連続の上昇となった。経済の安定性などに着目した海外投資家による日本株への資金流入が続き、日経平均株価はバブル崩壊後の最高値を更新した。

4月末の金融政策決定会合で、植田日銀総裁が緩和に対して「ハト派」のスタンスをとり、市場予想よりも積極的だったことから、月初から日本株式は大きく買われた。月中旬には、日本株が1年半ぶりに心理的節目である3万円台を回復し、海外投資家を中心とした買いの動きが活発化。その後、日経平均株価は1990年以来、約33年ぶりに連日の高値更新となった。

日経平均株価の上昇は、景気回復への期待や円安による輸出企業の業績向上など、さまざまな要因が重なった結果だと考えられる。しかし、ロシアのウクライナ侵攻や中国の景気減速などのリスク要因も懸念されており、今後の株価動向は不透明である。

また、日経平均株価に連動するインデックスファンドは、株価が上昇する局面で売りが増える傾向にある。6月も日経平均株価は高値圏で推移しているが、株価が上昇する局面では日経平均株価を対象とするインデックスファンドの売りが増える可能性は高いだろう。

■日経225ノーロードオープン
基準価額 2万2552円
信託報酬 0.55%(年率・税込)
純資産残高 2005.93億円

<騰落率>
1カ月  7.05%
3カ月 13.50%
6カ月 11.44%
1年     14.98%

※5月末時点

5月の純資産残高1位は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」

 

5月の純資産残高1位は、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の2兆1127.44億円だった。同ファンドは、米国を代表する株価指数であるS&P500種株価指数(配当込み、円換算ベース)に連動する投資成果を目指すインデックスファンドである。米国株は世界株式に出遅れているイメージがあるものの、同ファンドは円換算ベースのS&P500種株価指数を対象にしているので、パフォーマンスは好調だ。6月に入っても基準価額の上昇は続き、19日の基準価額は2万2254円と設定来高値を更新している。好調なパフォーマンスを背景に、高水準の資金流入が続く可能性は高いだろう。

■eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
基準価額 2万875円
信託報酬 0.09372%(年率・税込)
純資産残高 2兆1127.44億円

<騰落率>
1カ月  6.1%
3カ月  8.7%
6カ月  7.7%
1年    11.8%

※5月末時点

 文/山下 耕太郎