支払保険金1.9兆円…火災保険料の値上げに拍車
大規模な災害は一般に損害保険会社の収益を圧迫します。2018年は平成30年7月豪雨以外にも大型の台風による被害が相次いだため、火災保険の正味支払保険金は1兆9300億円にも上りました。これは東日本大震災があった2011年(同1兆5400億円)を上回る水準です。
【火災保険の正味支払保険金】
【風水害等による支払保険金額ワースト5(2023年3月末時点)】
出所:日本損害保険協会 過去の風水害等による高額支払保険金事例
近年は自然災害が頻発しており、火災保険の収支は赤字が常態化しています。この状態が続くと保険を維持することが困難となり、火災保険が提供されなくなるかもしれません。そうなれば多くの人が保険によるリスク移転の機会を失ってしまいます。
【火災保険の収支】
火災保険の保険料は、一般に損害保険料率算出機構が算出する「参考純率」が基になって決まります。参考純率は引き上げ傾向にあり、それに伴って火災保険料も上昇してきました。参考純率は保険会社の支払いデータなどから算出されるため、今後も自然災害が増えればさらに火災保険料は上昇するでしょう。
【火災保険参考純率改定の経緯(届け出日ベース)】
・2014年6月:平均3.5%引き上げ
・2018年5月:平均5.5%引き上げ
・2019年10月:平均4.9%引き上げ
・2021年6月:平均10.9%引き上げ
出所:損害保険料率算出機構 火災保険参考純率