さまざまな意味をもつ金利の捉え方

金利は、この記事でもいろいろと取り上げていくように、個人の家計にとっても、企業の事業展開にとっても、さらにまた一国の経済全般にとってもきわめて重要なものなのですが、少々面倒くさい面があり、とっつきにくい印象をもつ人も少なくありません。

その大きな理由のひとつに、金利の計算方法にまつわる煩雑さがあります。もうひとつの要因として用語や用法の問題もあります。

金利に関する用語・用法にはさまざまなものがあり、慣れていないと「金利」が何を指しているのか、あるいは他のさまざまな用語と「金利」の関係がどうなっているのか、なかなかわかりにくいところがあるのです。

たとえば利息は、利子と呼ばれることがあります。その場合、利率は利子率となります。学問の世界では、こちらの呼び方が一般的ですね。

また、日常的には利息(利子)のことも金利と呼ぶ場合があります。つまり、利率(利子率)も利息(利子)もどちらも金利という言葉で呼ばれることがあるのです。こうした使い方は非常によくみられるもので、決して間違いとはいえないでしょう。

つまり、金利には、利率(利子率)を指す狭義の金利のほかに、もっと汎用的な広義の金利という用法もあるということです。

もう少し面倒なことに、金利は場面や意味合いによってさまざまな他の用語で呼ばれるという点があります。たとえば利回り、収益率、割引率といった用語がありますが、これらも実は金利の一種として用いられる言葉なのです。

それぞれがどういう場面で使われるものなのかについては追々と説明をしていくこととして、とりあえずのところは、「金利という言葉は、利率を指す場合と利息を指す場合があり、場面や意味合いによっては異なる用語で呼ばれることもある」という具合に理解すればよいと思います。

●第2回(超重要なのに…経済ニュースで「金利」があまり取り上げられない理由では、金利のもつ基本的な3つの役割と重要性について解説します。

『教養としての「金利」』

田渕直也 著
発行所 日本実業出版社
定価 1,870円(税込)