物価が無限ループで上がっていく

太郎:要するに、お金の価値が下がるのと、物価が上がるのは同じということだね。

――そして、物価が上がってしまうと、お金が足りなくなる。今の日本の状況をみればイメージしやすい。円安でどんどん物価が上がって、お金が足りない状況が生まれている。

太郎:足りないなら、お金を増やせばいいんじゃないの。

――でもお金を増やすと物価が上がるでしょ。

太郎:あ、そうか……。お金足りないからお金増やす→物価上がる→お金足りないからお金増やす→物価上がる→お金足りないからお金増やす→物価上がる→お金足りないからお金増やす→物価上がる……っていう無限ループが発生するのか。

――そう。過去にあらゆる国でそういう現象が起きて痛い目に遭ったから、どの国も、通貨を発行する中央銀行が政府から直接国債を購入することを原則として禁止しているんだ。

太郎:でも、さっき日銀が銀行の国債を買い取って、その銀行の日銀当座預金を増やすって言っていた。それって結局、日銀が政府から直接国債を買っているのと同じじゃないの?

――やりすぎるとそれと同じことになる。

さて、ここで銀行同士のお金のやりとりの方法を説明しよう。例えばA銀行からB銀行へ100万円の送金をする場合、日銀は、A銀行の日銀当座預金の口座残高を100万円減らして、B銀行の日銀当座預金の口座残高を100万円増やす操作をする。これでA銀行からB銀行へ100万円送金したことになる。

太郎:日銀当座預金を増減させて送金しているんだね。でも、銀行ってそういう銀行間送金をたくさんやっているわけでしょ。もし一時的に送金するための日銀当座預金が足りなくなったらどうするの?

――日銀からお金を借りるか、または他の銀行から借りることになるが、主に他の銀行から借りて対応している。お金の余っている銀行が、お金の足りない銀行へお金を貸すんだ。

銀行同士はそうやって頻繁にお金の貸し借りをしている。そして、日銀当座預金の量が少なければそれだけ日銀当座預金が貴重になるから、お金を貸すときの金利も高くなる。

他方、日銀当座預金の量が多ければ、日銀当座預金の希少性は低くなるから、金利も低くなる。こうやって銀行間取引の金利が上下するのに合わせて、銀行が会社や個人にお金を貸し出すときの金利も上下する。自分が借りたときよりは高い金利で貸す必要があるからね。