食糧問題の解決が期待される「昆虫食」
虫に関する話題として、最近は「昆虫食」が注目されているようです。きっかけは高等学校で食用コオロギの粉末を使用した給食が提供されたことでした。生徒は自身で食べるか否かを選択できたものの、子どもの食が舞台となっただけに、一部からは昆虫食の安全性や衛生面を心配する声があがり、大きな論争を呼んでいます。
昆虫食は、2013年5月に国際連合食糧農業機関(FAO)が報告書を公表した際も注目されました。同報告書では、世界で人は1990種を超える昆虫類を食していること、昆虫類にはタンパク質や鉄分などが豊富に含まれていること、また食品だけでなく飼料としての活用も期待できることなどが示され、おおむね昆虫食を推奨する内容でした。
背景には世界的な食糧不足があるとみられています。昆虫類は少ない環境負荷で飼育でき、また多くの栄養素を持つことから、従来の食品の代用品として期待されています。
昆虫食を容認する動きも世界ではあり、例えばEUは2018年に昆虫を新規食品と規定し、2021年5月には初めて乾燥イエロー・ミールワームを使用した食品の販売を承認しました。国内でも食用コオロギなどを手掛けるベンチャー企業が数億円の資金調達に成功する例も表れています。
日本能率協会総合研究所は2020年12月、2019年度におよそ70億円だった世界の昆虫食の市場規模は、2025年度までに1000億円にまで拡大するとの予測を公表しました。まだ主流とはいえない昆虫食ですが、今後は私たちに身近な存在となるかもしれません。
執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。