コロナの水際対策で実感した、日本と諸外国の違い
「JTC」もこうした、専門性と能力主義の道を突き進むのでしょうか。実は簡単にそうとも言えないと考えます。
というのも、日本はいい意味でも悪い意味でも、とても特異な国だと思うのです。ある意味、切り離されているとさえ感じます。“慣性が高い”とでもいうのでしょうか、ちょっとやそっとのことでは、なかなか変わらないというようにも思います。内と外を分けるからでしょうか、外力が加わっても、内側から引き戻す力が強いので、留まろうとする傾向が強いとでもいいましょうか。
コロナが始まってから、私は今までに4回日本に帰国しました。その間、メキシコ、イスラエル、イギリスにも行きましたが、日本ほど入国が厳しく、時間がかかり、大変な国はなかったです。それは必ずしも悪いことではなくいいことでもありますが、どちらにせよ日本のやり方はすごく特異だと感じました。
私は日本国籍なので、いろいろと手続きが大変でホテルでの隔離などあったとはいえ、入国が許されました。一方で、長い間日本に住んでいて家も日本にある外国籍の方は入国が許されなかったり、あるいは日本生まれの日本人だけど国籍だけ米国に変えてしまった人が、外国籍だという理由で帰国が許されなかったりと、その内と外の分け方はかなりシビアだと思いました。
シビアな反面、徹底的でない部分もありました。隔離ホテルへの護送バスは窓もカバーされた隔離ぶりなのに、バスに乗り込む前にコンビニで買い物が許されたり、自主隔離期間の居場所追跡も形としてはやるが、実は案外いい加減だったりというちぐはぐさです。一応形式としてはやらないと、他からの目があるということなのでしょうか。
昨年(2022年)イスラエルにボランティアに行きましたが、手術を受ける人に付き添うボランティアだったため、日々テルアビブの病院のICUに入って働きました。病院の中の手術室の隣にあるICUでした。
一方、日本のサービス付き高齢者住宅に住む両親に面会をするのは、今年(2023年)4月の時点でも、まだ15分に限られていました。どちらがいいと言っているのではなく、単に日本はかなり特異であり、新しいフェーズに移行するのにすごく時間がかかる、つまり慣性が高いと感じるのです。