専門性と能力主義で突き進むアメリカ

そうなると、日本もアメリカみたいになっていくのでしょうか?

専門性を追求し、能力主義で、それに見合った報酬を与える社会――アメリカはとことんそれで進んでいます。

専門化と分業ははなはだしく、何でも分野ごとに分かれていて、分野を超えて話ができるジェネラリストはあまりいません。医療や法律やその他の専門性の高いものに関しては、自分の分野をはみ出るとライアビリティの問題もあり、「それはその専門家に相談してください」と言っておしまいになります。

同じようなカテゴリーの仕事をしていても、専門によって報酬も大きく異なります。

たとえば、公立高校の先生であっても教える教科によって給料は違います(そもそも、アメリカでは州や市によって、同じ教科であっても給料は違いますが)。化学の先生の給料が一番高いと聞きました。同じ大学の中でも専門分野で教授の給料は違います。あくまで“平均”の話ではあるのですが、たとえば法学の教授の給料は英文学の教授のそれの2倍です。同じ病院の中で勤めていても、医師の給料も専門によって違います。平均的にですが、脳外科医の給料は内科医の給料の3~4倍です。私の知り合いにお医者さん専門のヘッドハンターがいるのですが、需要の高い人材は見つけては、アメリカ各地を飛び回ってより良い条件を出し引き抜いてくるという仕事をしています。そんな引き抜きでは給料が激増することもあるようです。