日本にある「宝の山」

日本にエベレストのような8000メートル級の山はありませんが、実は世界有数の金山があることをご存じでしょうか。鹿児島県にある「菱刈(ひしかり)鉱山」のことで、1981年に金の鉱脈が発見されました。それも鉱石1トン中に約20グラム、高品位部では約40グラムもの金が含まれる、世界の金鉱山でトップクラスの金品位を誇る大鉱脈でした。

鉱石に含まれる金の割合が高いということは、より低コストで純金を作り出すことができるということです。菱刈鉱山では2012年10月にも新たな金鉱床が発見され、2022年までにおよそ260トンの金を産出しました。有名な佐渡金山の産出量がおよそ400年で約83トンですから、菱刈鉱山がいかに優れた鉱床を持つかがうかがえます。

菱刈鉱山は住友金属鉱山が所有しています。同社では1979年に佐々連鉱山(愛媛県)が閉山し、国内の資源事業がついえるかと思われていました。しかし菱刈鉱山の鉱床が発見され、現在までその歴史をつなぐことができています。しかも、金価格はこれまで大きく上昇しており、菱刈鉱山は同社の重要な収益源の1つに育っています。

【NY金先物価格(月足)】

Investing.comより著者作成

菱刈鉱山では2021年末時点で約157トンの金の埋蔵が確認されています。これまでは年におよそ6トンの金を産出してきましたが、住友金属鉱山は年4.4トンへ引き下げる方針を示しました。単純に考えればおよそ35年間は金の採掘を続けられる計算です。金価格がこれまでのように上昇を続ければ、住友金属鉱山の業績もさらに高みへ向かうかもしれません。

【住友金属鉱山の業績】

※2023年3月期(予想)は第3四半期時点における同社の予想

出所:住友金属鉱山 決算短信

【住友金属鉱山の株価】

Investing.comより著者作成