経済を支えるのは高齢者? 健康寿命の延伸で期待される消費

冒頭紹介した三浦さんのエベレスト登頂は80歳が3度目で、75歳と70歳のときも達成しています。ちなみに、女性のエベレスト登頂最高齢記録(73歳)も日本人が保有しています。

日本の高齢者の活躍は枚挙にいとまがありません。2020年には当時90歳の女性が最高齢ゲーム系ユーチューバーとしてギネスワールドレコーズに登録されたほか、商社に勤務する当時90歳の女性も同じくギネスから世界最高齢総務部員として認定されました。また三浦さんも、惜しくも途中断念とはなりましたが、2019年に標高6900メートル級のアコンガクア(アンデス山脈)の登頂に挑戦しています。

高齢者が活躍する背景には健康寿命の延びがあるでしょう。「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことで、2019年では男性で72.68歳、女性で75.38歳となりました。両性ともに延伸しており、年齢が進んでも元気なシニア層が増えている様子がうかがえます。

【平均寿命と健康寿命の推移】

厚生労働省「e-ヘルスネット」より著者作成

健康寿命の延びは経済にもよい影響がありそうです。貯蓄は年齢が進むほど増える傾向にあり、反対に負債は減る傾向にあります。家計に余裕がみられることから、高齢者が活動的になれば大きな資金が消費に向かうことに期待できるでしょう。

【年齢別の貯蓄および負債の額(2人以上世帯)】

総務省「家計調査(2021年)」より著者作成

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。