沖縄経済の強みと意外な弱点

日本屈指の観光地である沖縄県は、大きな観光収入が強みです。新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込みますが、2019年では7000億円を超える観光収入がありました。沖縄経済へ与える影響も大きく、2017年度では沖縄県内で約1兆1700億円もの経済波及効果と約14万人もの雇用を誘発したと推計されています。

【沖縄県の観光収入】

沖縄県「観光収入・経済波及効果」より著者作成

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増加する人口も、沖縄経済の強みです。総務省の「人口推計(2022年)」によると、2022年10月1日時点の沖縄県の総人口は146万8000人と推計されており、2000年比でおよそ15万人、本土復帰した1972年比ではおよそ50万人増加しました。

【10月1日時点の人口(2010年=100)】

総務省「人口推計(2022年)」より著者作成

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一方、沖縄経済の弱点としてよく挙げられるのが、1人あたり県民所得の低さです。県内の個人や企業が生み出した所得を県民1人あたりに直した数値のことで、沖縄県は全国最下位となっています。2019年では約240万円で、これは全国平均の7割ほどしかありません。

【1人あたり県民所得(2019年)】

内閣府 経済社会総合研究所「県民経済計算」より著者作成

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また、経済格差の大きさも沖縄が抱える課題です。「全国家計構造調査(2019年)」では、一般に格差の大きさを示すといわれるジニ係数は沖縄県が最も大きくなりました。特に子どもの貧困が問題視されており、その対策が強く求められています。

【等価可処分所得ジニ係数ワースト5都道府県(2019年)】
1.沖縄県:0.332
2.高知県:0.324
3.愛媛県:0.313
4.栃木県:0.303
5.東京都:0.303
5.和歌山県:0.303
参考)全国:0.288

出所:総務省 全国家計構造調査(2019年)