おひとりさま4人に1人時代が到来したともいわれる現代。誰しも「おひとりさま」になりうると、“自分事”化しておく必要があります。

特に、医療や保険、年金、介護…といった“老後のお金”まわりで、「知らなかったがために損をする」事態を避けるためにも、早くから知識を身に付けるにこしたことはありません。

話題の書籍『おひとりさまが知って得する、お金の貯め方・増やし方』では、経済評論家として活躍中の佐藤治彦氏が、充実した“おひとりさまの老後”を過ごすために必要なお金との向き合い方を解説。今回は、本書冒頭の「はじめに」と第2章「幸せなおひとりさまは貧乏ではいけない。お金と住宅にまつわる話」の一部を特別に公開します。(全3回)

●第2回:「金運財布」は無意味だが…それでも財布の中を整えるのは“効果あり”な理由

※本稿は、佐藤治彦著『おひとりさまが知って得する、お金の貯め方・増やし方』(ぱる出版)の一部を再編集したものです。

家計簿をつけるとお金が貯まる生活になるでしょうか?

僕はかつて、とてもよく売れる家計簿の監修をしていたことがあります。そこでの僕の裏テーマはどうやって家計簿をつけないで、家計簿をつけた時と同じような効果を出すかでした。家計簿をつける時間がとてももったいないと思ったのです。

家計簿は毎日、毎月の家庭のお金の動きを記録して、収入と支出を把握する。そして、主として支出をコントロールするために行うものです。ところが、多くの人が記録をつけるだけで終わってしまう。それでは、ため息をつくために時間と手間を使っているものだと思うのです。

そうでなくても、家族全員が忙しくしているのだから、家計簿にかける時間をできるだけ減らして、家族の会話やお風呂に5分長く入る、読書や趣味、テレビなどの娯楽に使った方がいいと思うのです。

家計簿をつけて、出て行くお金を管理して黒字の家計を作ろうとする。そのために多くの人が毎月の予算計画を立てます。食費は1週間に1万円とか、光熱費は電気代が毎月8000円とか、交際費、こづかい、趣味、交通費まで管理を始めます。

そして、今月は食費が予定よりも多かった少なかった。交際費が多かったので節約しないとといった具合に反省します。そして、うまくいかないものだと、ここでも深いため息をつくのです。

また、時に黒字になった時には、頑張った自分にご褒美といって普段は買わない高級な美味しいスイーツを買ったりします。

消費者金融のお世話になる人は全国民の1割くらいいるということですから、赤字の家計に悩む人は多いのですが、私はあえてこう申し上げたいと思います。

家計というものは、自分で管理しようと思っても無理なところがある。ざっくりとした方向性を持つことまで悪いとは言わないが、単月で赤字、黒字といって大騒ぎする必要はないものだ、と思うのです。