節約をするという意識よりも、無駄なお金は使わないという主義

友人が立て続けに結婚すれば交際費は膨らみますし、今月は交際費に余裕があるからと、大して仲の良くない人にプレゼントを送ったりもしません。エアコンが壊れれば、予算がなくても買い替えないと熱中症で命に関わる問題になりかねません。しかし、予算があるからといって、掃除機をもう1台買うのは家電芸人さんくらいでしょう。

こう話すと、佐藤さんの例は極端すぎると言われることがあります。日本人はどうしても周りと比べたがる。だいたい他の人と同じようにしていると安心だし満足もしてしまう。しかし、それが良くないんです。

皆さんにお願いしたいのは、世間と比べて安心する生活、人並みに合わせるというのをやめてもらいたい。自分で自分の基準を作る。ルールを設定する。これが必要なことなのです。

テレビなどの家計簿診断では、いわゆる平均値を出して比較します。この家庭の場合は、光熱費や趣味のお金が多い。もう少し考えた方がいいですね、という具合です。しかし、例えば、スポーツをする高校生の2人の少年がいる家庭では、教育費も食費も平均より多いのは当たり前で、むしろ平均で抑えているのであれば、何か特別な事情があるのかなと思ってしまいます。

同じ2人世帯の家庭でも、20代の若い2人の家庭と60過ぎの家庭では暮らし方も大きく変わります。使うもの、使い方が変わるのが当たり前。平均と比べても仕方のないことです。

最近はアプリで簡単にレシートなどから家計簿をつけられるものもあるので、つけたい人はつけてみるのには反対しません。でもですね、家計簿よりも、もっと大切なことは、要らないものは安くても買わない。必要なものは、できるだけ賢く安く購入する。ということを徹底していくことではないでしょうか?

自分に必要なものしか買ってないのに、家計が赤字になり貯蓄も全くできないということであれば、必要なものとそうでないもののハードルが低すぎるのかもしれません。もしくは、買い方が下手なのかもしれません。どこか我慢するものを選ぶ必要があるのかもしれません。

しかし、黒字だからといって、自分に必要なものとは何かということを考えなくていいわけでもありません。

例えば、私は街で缶コーヒーやペットボトルなどの飲料をほとんど買わなくなりました。前は1日に2本くらい買っていたので、1日280円くらい使っていた。しかし、自販機やコンビニで買わずに、多くの場合は安く売っているドラッグストアやスーパーで買うことにしていて、少し安くできていた。それも一つの工夫です。

しかし、私は、水筒を持ち歩くことにしたのです。美味しいコーヒーなどをいれて持ち歩く。夏は冷たく、冬は暖かい飲み物がいつでも飲めるようになった。さらに、外で購入する時間と手間は要らない。外で買うとじきに常温になってしまいますが、そんなこともない。

さらに、1日に280円は365日で10万2000円ほどです。家から持ってくると10分の1程度でしょうか。どちらが賢いスタイルか考えると明白ではないでしょうか?

そして、ペットボトルや缶コーヒーを買うのを控えて水筒にするのは、多くの場合で環境にも優しいはずです。だから、160円で売られているペットボトル飲料が130円になっていても安いとか買いたいとか思わない。自分の買物の基準から外れているからです。

ただし、この基準に縛られすぎるのも良くない。水筒を持って出るのを忘れた。あまりにも暑くて飲みきってしまった。そんな時には、外で冷たい飲み物を買うこともあります。自分のルールだから頑なに買わないなんてこともしない。

家計簿をつけて、今月は黒字だ、赤字だと一喜一憂しても仕方ないです。それよりも、自分のルールや基準で不必要なものを決めて、それに従って生活していくほうが現実的だと思うのです。

毎月のように赤字でキャッシングで借金も増えてどうしようもない。自分で支出をコントロールできないというのなら、家計簿をつけるのもいいのかもしれませんが、一般的には、家計簿をつけるよりも、自分にとって本当に必要なものは何か? それをいくらくらいでどう買っていくか。無駄なく使っていくか。そういうことを考えておくほうが大切だと思うのです。

家計簿をつけるだけでは、家計の財政状態が良くなるわけじゃない。それだけは申し上げたいです。

『おひとりさまが知って得する、お金の貯め方・増やし方』

佐藤治彦 著
発行所 ぱる出版
定価 1,540円(税込)