「支給」項目は残業代の計算過程も意識しよう

「支給」項目は勤怠項目などを参考に、給与の内訳を表している。合計額である「総支給額」が、一般的に収入金額と見なされている。

支給項目の大部分を占めるのが「基本給」。年齢や社歴、能力・経験などをもとに決められ、収入のベースとなる。勤怠項目において欠勤があると、基本給から欠勤分が差し引かれる場合がある。

一方で同じ休暇でも、年次有給休暇を取った場合は減額されない。そのため、有給を取得していた人は「欠勤扱いで給与が減らされていた!」ということのないように、基本給が減っていないか、勤怠項目とともに念のため確認しておきたい。

そのほかに通勤手当や住宅手当といった、各種手当ての金額も記載される。なかでも、毎月における金額の変動が比較的大きいといえるのは、いわゆる残業代を示す「残業手当」や「休日出勤手当」だ。手取りの金額を大きく左右するため、毎月欠かさずチェックしている人も多いだろう。

そもそも残業代とは、事業者の定めた所定労働時間や法律で規定された法定労働時間(1日8時間以内、週40時間以内)などを超えた労働に対して支払われる賃金だ。

事業者の定めにもよるが、残業代は一般的に、単位時間あたりの労働に対して支給される。具体的には、基本給に諸手当を足した金額を、月平均所定労働時間で割って求めるのだ。例えば基本給25万円、諸手当1万円、月平均所定労働時間を160時間とした場合、計算式は次のとおり。

1時間当たりの賃金=(25万円+1万円)/160時間=約1,625円

原則として、上記に残業時間を掛け合わせれば、残業代が算出される。ただし、事業者が決めた所定労働時間ではなく、法定労働時間を超えた場合などは、1時間あたりの賃金に下記に示す倍率により割り増しを行わなければならない。

こうした割増率の規定を含め、時間外労働に対する手当の支給は、労働基準法に基づいた事業者の義務だ。残業代について、労働日や時間帯に応じて適正な金額が支給されているかをしっかりと確認したい。