三井住友トラスト・アセット・マネジメントが定期的に刊行している「投資INSIDE-OUT」の235号では、「日本の家計資産の多くを占める『現金・預金』の落とし穴」と題して、日本の家計部門が保有している金融資産のうち、現金と預金の占める比率が高いこと、それに伴う問題点が指摘されています。

日米の金融資産の割合

2022年8月に日本銀行調査統計局の「資金循環の日米欧比較」に掲載された家計の金融資産構成を見ると、日本は全体の54.3%が現金・預金であるのに対して、米国は13.7%、ユーロエリアは34.5%です。

元となったデータは2022年3月末時点と少し古い数字にはなりますが、確かに日本の家計金融資産は現金・預金の比率が高いことが分かります。

では、13.7%しか現金・預金を持たない米国は、他にどのような金融資産を多く持っているのでしょうか。具体的に数字を挙げてみましょう。かっこ内は日本の数字で、「債務証券」は債券を指しています。

現金・預金・・・・・・13.7%(54.3%)
債務証券・・・・・・2.6%(1.3%)
投資信託・・・・・・12.6%(4.5%)
株式等・・・・・・39.8%(10.2%)
保険・年金・定型保証・・・・・・28.6%(26.9%)
その他・・・・・・2.8%(2.8%)

日米を比較すると、投資信託と株式等の2項目に大きな違いが確認できます。米国の場合、現金・預金の比率が圧倒的に低い反面、投資信託や株式等の比率が高いのです。なぜ、日本はここまで現金・預金の占める比率が高いのでしょうか。