デフレ経済による影響

2015年基準の消費者物価指数(総合)の数字を見ると、1989年度の89.3に対し、2018年度は101.4です。平成の30年間における成長率は113.5%なので、年平均で見ると、0.42%ずつしか上昇しなかったことになります。

しかも、デフレ経済は物価の下落を通じて相対的に現金の価値を高める効果があるので、現金のままで保有する、もしくは超低金利でも預金しておくだけで、物価見合いによるお金の価値は上がります。

既にお分かりの通り、このような状況下では、特にインフレリスクを回避するための資産運用を考える必要はありません。日本人は戦後の高度経済成長期から現在まで、少なくともインフレリスクを回避するための資産運用については、真剣に考えずに済んだのです。

日本人の金融資産が現在でも現金や預金に偏在しているのは、こうした事情も考えられます。

今後考えるべき「インフレ対策」とは?

しかしながら、今後はインフレ対策の一環として、資産運用を真剣に考えなければならない時代になっているかもしれません。日米ともにインフレ率は落ち着き始めているものの、インフレ要因が無くなった訳ではないからです。

ウクライナとロシアの紛争は資源・エネルギー価格の上昇要因ですし、米国を中心とする資本主義社会では、これまで世界的にデフレを輸出してきた中国をサプライチェーンから外そうという思惑が生じています。

今すぐではないにしても、この思惑が現実になれば、安い労働力で世界中に製品を輸出していた中国に頼れなくなる分、物価が上昇するかもしれません。さらに、円安が進めば輸入物価の上昇を通じて、物価上昇に弾みがつくことも想定できます。

このように考えると、これからの時代は、現金と預金に金融資産を集中させ続けると、インフレによって資産価値が目減りするリスクに直面する恐れがあります。だからこそ、これからの時代は日本人も真剣に資産運用を考えていく必要があると言えるのです。