お孫さまが未成年でも、今年なら新しいNISAの予約ができる
なお、ここまでは、高齢世代として70代や80代の皆さまからのご意見やご相談を中心にご紹介してきました。一方、60代の皆さまに「孫に贈与でNISA」をおススメすると、こんな感想を頂戴することもあります。
「孫は未成年でNISAがまだできないから、うちには関係ない話。良いアイディアだと思ったけど残念……」
そうですね。ご理解いただいているとおり、新しいNISAの対象年齢は18歳以上ですから、未成年だと利用できません。そして、お孫さまがまだNISAができない年齢であることが残念でならないと、60代の皆さまが思う気持ちもよく分かります。というのも、今、60代の皆さまは20代から30代にかけて、日本がバブル景気だった頃の株式市場を経験されているからです。おそらく、70代の皆さま以上に、「孫に贈与でNISA」というアイディアに共感いただいているのではないでしょうか。
そんな、ある意味、「孫に贈与でNISA」の一番の理解者である60代の皆さまへ申し上げたいのは、新しいNISAも、そして、現行のつみたてNISAや一般NISAも対象年齢は18歳以上ですが、現行の2023年末までのジュニアNISAは未成年、つまり、0歳から17歳でも利用できる、ということです。ですから、今年中に未成年のお孫さまに贈与して、お孫さまがその贈与を受けたお金で、今のジュニアNISAで投資を始めてもらう、そんなことを考えていただければと思います。
「でも、新しいNISAにはジュニアNISA枠なんてないんだから、あまり意味がないだろう」なんて、そんな声が聞こえてきそうですね。たしかに、新しいNISAにはジュニアNISA枠なんてありませんが、私が申し上げたいのは、今、ジュニアNISAをお孫さまに始めてもらうのは「意味がない」ことではない、ということです。
逆に、どんな「意味がある」のかと言いますと、今、ジュニアNISAをやっている未成年者が18歳で1月1日を迎えると、新しいNISAが自動的に開設される※、言ってみれば、新しいNISAの予約が未成年のうちからできる、ということです。そして、これは2024年からではできない、つまり、ジュニアNISAがある2023年中にしかできないことですから、未成年の「孫に贈与でNISA」も、今年に限っては「意味がある」、そんなふうに思っています。
※なお、ジュニアNISAで保有している商品を新しいNISAの非課税投資枠へ移管する(ロールオーバーと言います)ことはできません。これは、つみたてNISAや一般NISAも同じで、現行のNISAと新しいNISAは別モノということでもあります。そして、別モノであれば、ジュニアNISAだけでなく、つみたてNISAや一般NISAを今年中にやっておくことも「意味がある」ことになります……よね(笑)。
以上、新しいNISAの特徴や贈与税改正を踏まえて、これからは「孫に贈与でNISA」が流行るのではないかと、その理由を高齢世代の皆さまから伺ったお話しをもとにご説明しました。そして、「孫に贈与でNISA」が流行れば、それがひいては、国民的な金融リテラシーの向上にも繋がるんじゃないかと、そんな期待もしているのです。
だからこそ、高齢世代の皆さまには、お孫さまにお金を贈与するだけでなく、投資経験や相場観、そして金融リテラシーといったものも含めて、お孫さまと投資について語り合う、そんな場を積極的に作っていただければと思います。
最後に、新しいNISAについては、先日、YouTubeに動画をアップしました。新しいNISAのことをお孫さまにお伝えする前に、まずはこの6分程度の動画で改正のポイントをおさらいいただければと思います。もちろん、このYouTube動画のリンクを、お孫さまとLINEやメールで共有すれば、「おじいちゃん、おばあちゃん、なかなかやるじゃん!」(この言いっぷりが、なんとも昭和レトロで恥ずかしいのですが……笑)みたいになるかもしれませんね。そして、この動画が投資の話題をきっかけとした、高齢世代の皆さまとお孫さまとの懸け橋になれれば嬉しいですね。ご参考になれば幸いです。
●筆者出演のYouTube動画「新しいNISAのトリセツ ~改正のポイントと活用法~」