「孫に贈与でNISA」を後押しする、祖父母と孫の相場観

ところで、高齢世代の皆さまに「孫に贈与でNISAがおススメ」なんて話をすると、少なからずこんなご意見を頂戴することもあります。

「孫は投資の話を聞いてくれるかな? 実の息子とも話したことないけど……」

国民的な金融リテラシーの向上が課題だと言われている日本では、そういう心配もあるかもしれませんね。言わば、お金を贈与するだけでなく、“相場観”も贈与できるかどうか、ということでもありますが、実はその点、私はあまり心配していません。どういうことなのか、祖父母と孫の相場観という話をご紹介しましょう。

アメリカのある調査によると、個人の投資判断に大きな影響を与えるのは、10代から20代にかけて、どんな株式市場を経験したのか、ということだそうです。例えば、株式市場が好調な時代に育った人は、株価が低迷している時代に育った人に比べて、その後の人生で株式に投資する金額が多かった、そんな調査結果を目にしたことがあるのです。

そこで、日本の場合はどんな感じになるのか、それをちょっと調べてみました。贈与する人は70代が多いと言われますので、今年75歳になる人と、そのお孫さま世代の20代、その中でも今年25歳になる人が、10代から20代に、どのような株式市場を経験しているのか、並べてみたのが下のグラフになります。

筆者作成

いかがでしょうか? なんとなく似たような右肩上がりの株式市場を、今年75歳の人も、今年25歳の人も、同じように経験している――そんなふうに見えるかと思います。先ほど、私が「あまり心配していません」と言ったのは、こういうことなのですが、高齢世代とそのお孫さまは、意外と投資の話が共通の、そして、共感できる話題になるかもしれないのです。

ですから、高齢世代の皆さまは、ある意味、自信を持ってお孫さまに投資の話をしてあげてほしいと思います。そして、これから「孫に贈与でNISA」が流行るとすれば、それがひいては国民的な金融リテラシーの向上にも繋がるんじゃないかと、そんな期待も胸に秘めているのです(笑)。