新NISAで投資を始める人は、金融機関の思惑に惑わされないよう注意を

新NISAが来年1月からスタートすることで、証券会社をはじめとする販売金融機関が張り切るだろうと思うのは、この一般NISAがさらにパワーアップして、「成長投資枠」として登場するからです。

成長投資枠は年間240万円を上限として、新NISAに設けられた1800万円の生涯投資枠のうち、1200万円まで使うことができます。しかも、途中で売却・解約したとしても、その枠を再利用することが可能です。つまり1800万円という生涯投資枠のなかで、一度利益確定した後、再び非課税枠を活用した投資が実現するのです。

だとするならば、収益を上げたい販売金融機関が、プロモーションにより注力するのは、つみたてNISAではなく、成長投資枠になります。実際、ある大手販売金融機関では、成長投資枠を使って、現行NISAで他社の口座を活用している利用者を、どんどん自社に引き入れるように、上層部から大号令がかかっているという話も、漏れ伝わってきます。

そういう状況なので、新NISAを利用して資産運用を始めてみようと考えている人は、販売金融機関の言うなりに転がされないように、十分注意する必要があります。オンライン系の金融機関は営業担当者が付かないので、あまり心配はいりませんが、問題は全国に支店網を持ち、営業担当者がいるような金融機関です。なかでも証券会社は、過去においても投資信託の回転売買を積極的に行ってきた経緯があるので、特に注意した方が良いでしょう。

2%の販売手数料を払わされて購入した投資信託を、多少値上がりしたからといって解約させ、さらに別の投資信託に2%の販売手数料を払わせて乗り換えさせる、といった話に乗ってしまうと、せっかく運用収益に対して非課税になるはずの新NISAなのに、下手をすると、税金で持っていかれる以上に、手数料負担が重くなってしまうことも考えられます。

とにかく、販売金融機関の言いなりになると、長期の資産形成には相応しくない投資信託を掴まされる恐れがあるので、くれぐれも注意が必要です。その点では、ある程度、自分自身で商品を選択できるだけの知識は必要になりますが、オンライン証券会社で新NISAの口座を開設するのが無難とも言えます。