つみたてNISAと一般NISAの買付額に10倍の差がある理由は!?

2024年1月からスタートする新NISAについては、すでにさまざまなメディアで報道されているので、改めてその仕組みについて説明するまでもないでしょう。

昨年12月16日、令和5年度の与党税制改正大綱が取りまとめられました。これによって新NISAの全容がほぼ明らかになりましたが、この内容を見て一番張り切っているのは、証券会社などの販売金融機関かもしれません。

やや古いデータになりますが、2022年9月末時点におけるNISA口座の利用状況調査によると、口座数は一般NISAが1068万7394口座で、つみたてNISAが684万3858口座。買付額の合計額は一般NISAが26兆4950億9801万円で、つみたてNISAは2兆4475億7310万円でした。

口座数で見れば、一般NISAはつみたてNISAの約1.6倍ですが、買付額ではかなり大きな差が付いています。

つみたてNISAの年間投資枠は40万円で毎月積立が原則であるのに対して、一般NISAの年間投資枠は120万円で、かつ一括投資が可能ですから、一般NISAの方がより高額の資金を運用できるのは事実です。また、一般NISAはつみたてNISAに比べて4年先行して始まったことを考えれば、買付額の合計に大きな差が生じるのは当然ですが、それでも10倍以上の差は極端です。

ちなみに、2022年1~9月までの買付額で見ると、一般NISAの総額が2兆4775億8407万円であるのに対し、つみたてNISAのそれは9185億1578万円ですから、この期間だけでもその差は約2.7倍です。

とはいえ、2022年6月末から9月末までの3カ月間における買付額の増加額は、一般NISAが5679億1338万円で、つみたてNISAが3420億8427万円ですから、ここに来て徐々につみたてNISAが、若者層を中心に浸透しつつあることは分かります。

しかしながら、金融庁が資産形成の基本として「長期、積立、分散投資」を勧めてきたにもかかわらず、それでもなお、つみたてNISAの残高が一般NISAのそれに追いつかない理由としては、証券会社など販売金融機関がつみたてNISAを積極的にプロモーションしていないという面もありそうです。