インデックス投信では販売手数料を稼げない
もう少し、データを細かく見てみましょう。商品別に買付額の総額を比較すると、
一般NISAのそれは、
上場株式・・・・11兆1777億7171万円
投資信託・・・・16兆8838億9324万円
ETF・・・・・・6556億7400万円
REIT・・・・・ 2253億3215万円
これに対して、つみたてNISAは、
インデックス投信・・・2兆1110億1299万円
アクティブ投信等・・・2197億5610万円
ETF・・・・・・・・・3億9970万円
となっています。つみたてNISAは圧倒的にインデックス投信に資金が集まっていますが、販売金融機関にとっては、これは「全く儲からない」ことを意味します。そもそもつみたてNISAの対象ファンドにはスクリーニング基準が設けられており、それによると、インデックス投信もアクティブ投信も販売手数料は取れません。
かつ、インデックス投信の場合、信託報酬率が極めて低廉に設定されています。たとえば、つみたてNISA対象のインデックス投信で最も純資産総額が大きい、三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の信託報酬率を見ると、販売金融機関のそれは年0.034%しかありません。
つまり1000億円を販売したとしても、1年間に得られる信託報酬の額は、たったの3400万円なのです。1000億円を販売するための手間暇、口座管理などにかかるコストを考慮すると、ほとんどペイしないのではないかと察します。
これに対して、一般NISAで最も買付額が大きい投資信託には、つみたてNISAのように「販売手数料のかかるものは対象外」といった制限はなく、その販売金融機関が扱っている投資信託であれば、ほぼ例外なく一般NISA口座で購入できます。たとえば販売手数料が購入金額に対して2%、信託報酬率が販売金融機関分で年1%といったような、比較的高コストの投資信託でも扱えるのです。
仮に、このコスト料率の投資信託を1000億円分販売したら、この販売金融機関は販売手数料だけで20億円、年間の信託報酬で10億円が入ってきます。商売のうま味としては、断然に一般NISAなのです。