米ドル高が進み、「外貨投資」に注目が集まる

金融機関のサイトを見ると、「外貨投資」という言葉をよく目にします。

某メガバンクのサイトには、「外貨投資で分散投資」という見出しと共に、外貨投資のメリットを解説しています。昨年の米ドル/円レートは、物凄いスピードで米ドル高になりました。2022年1月24日には1米ドル=113.48円の安値を付けたところから米ドル高が進み、同年10月21日には1米ドル=151.94円をつけました。

米ドルは、さまざまな貿易に使われる基軸通貨ですので、日本が海外から輸入している資源・エネルギーや食糧は、基本的に米ドル建てで取引されています。ということは、米ドル高が進むと、円建ての取引価格は値上がりすることになります。たとえば1米ドル=110円なら、1万米ドルのものを輸入するのに必要な円建て価格は110万円ですが、1米ドル=150円になると150万円になります。

先日発表された、昨年12月の消費者物価指数が、コアで前年同月比4.0%の上昇となり、41年ぶりの上げ幅だとニュースで騒がれていましたが、企業間で取引されている物価を示す「企業物価指数」の12月値は、前年同月比で10.2%の上昇となりました。企業間で取引される物価は、すでに2ケタの上昇ですが、さまざまなコストカットの賜物により、消費者への価格転嫁は最小限に抑えられてきたのです。

物価が上昇すると、同じ1万円で買えるモノの数量は減ります。つまり円の価値が減価します。このように、通貨安によって国内物価が上昇することを「輸入インフレ」と言います。

輸入インフレによって円の購買力が低下するリスクを抑えるためには、確かに資産の一部を外貨で持つのが有効であると言えるのですが、問題は永遠に円安になるとは限らないことです。現に今、外国為替市場では米ドル高が進むどころか、米ドル安が進行しています。1米ドル=151.94円まで進んだ米ドルは、今では1米ドル=129円台になりました(1月26日現在)。