2000年以降、上昇傾向にある金価格

金本位制の下では通貨を金の保有量以上に発行できないため、お金の価値は下がりません。つまり、インフレになりにくかったのです。しかし、管理通貨制になってから各国は通貨の発行量を増やしていき、結果としてインフレが進むようになりました。

金本位制が廃止されても金の価値がなくなることはなく、最近ではますます存在感を増しています。2000年には1グラム1000円程度だった金価格は年々上昇し、2022年には7000円を超えています。

本来は金にも値下がりするリスクがあるのですが、値上がりが続いているのはなぜでしょうか。

その理由の1つはインフレです。各国が通貨の発行量を増やすとお金の価値が下がります。すると相対的に金のような現物資産の価値は上がるのです。また、「有事の金」といわれるように、金は地政学的リスクに強いとされています。テロや内戦などで政情が不安定な国の通貨は価値が下がりますが、金はどんなときも世界中で公正な価格で取引されるのです。そのため、世界情勢が不安定な場合は、金価格が上昇しやすくなります。

コロナ禍やウクライナ問題でインフレや政情不安が顕在化している現在の状況は、金が値上がりする条件がそろっていることになるわけです。

さまざまな魅力を持つ金

ゴールドラッシュという言葉には、金が人間にとって特別な価値を持つことが表現されています。金には装飾品として、工業用として、通貨の代替としてなどさまざまな役割があります。このような多様な性質を持つ金属や金融商品は他にないでしょう。

また、世界の金の供給量が今後、大幅に増えることはないといわれています。この希少性の高さからも、金が安定的に価値を持ち続ける可能性は高いと考えられます。金への投資は値上がり益を狙うだけでなく、資産を守ることにもつながります。この機会に純金積立など、小口の金投資を始めてみてはいかがでしょうか。

執筆/松田聡子

明治大学卒業後、ITエンジニア、国内生命保険会社での法人営業を経て、2007年より独立系FPとして開業。コンサルティングの他、企業型確定拠出年金講師や執筆活動に従事。人生100年時代を最後まで自分らしく生きるためのお金のアドバイスと情報発信がライフワーク。日本FP協会認定CFP、DCアドバイザー、証券外務員二種。