ジョン万次郎

井伏鱒二(いぶせ・ますじ)著『ジョン万次郎漂流記』で描かれた中浜万次郎は、実は1849年にサンフランシスコに上陸したフォーティナイナーズの1人です。ゴールドラッシュの起きた1848年は日本の嘉永元年で、ペリー来航前の幕末にあたります。ジョン万次郎は金の採掘で得た資金を、日本への帰国のために使いました。その後、幕臣となった万次郎は、海外使節団の一員として勝海舟、福沢諭吉らと共に再びサンフランシスコに渡ったのです。

ゴールドラッシュがもたらした金本位制への影響

1848年のカリフォルニアでのゴールドラッシュ以外の世界各地のゴールドラッシュは、1800年代後半に集中的に発生しています。金の供給が増えたことは、金本位制を導入する国の増加につながりました。金本位制により通貨の信用が高まり、結果として経済活動が活発になっていったのです。

金本位制とは、金を通貨の価値基準とする制度です。各国の中央銀行が発行した紙幣に見合う金を保有し、紙幣と金の交換を保証します。金と交換できる紙幣を「兌換(だかん)紙幣」といいます。ただの紙切れである紙幣の価値を、金によって裏付ける仕組みです。

金本位制の下では金という共通の通貨の価値基準があるため、為替相場が安定します。為替相場が安定すると、貿易が発展しやすくなります。

しかし、世界の経済が発展していくと、金本位制の限界が明らかになってきました。金本位制の下では、金の保有量以上に通貨を発行できないのです。

こうして世界各国は金本位制を廃止し、国の信用の下に通貨を発行する管理通貨制度に移行していきました。