一方、アクティブファンドの運用力を評価する重要な項目である「市場平均を上回る収益をあげている」「一貫した運用哲学のもとで運用がおこなわれている」は、2番目、3番目に重視する項目になっている。この中で、「市場平均を上回る収益」は本部が71.3%で前年の72.7%から微減、支店は68.9%で前年の68.7%から微増した。販売会社は、「商品をセレクトして顧客に提供する」役割を担っているだけに、「市場平均を(長期的に)上回る収益をあげている」という実績に高い評価のポイントを置いているのだろう。

「一貫した投資哲学」で「市場平均を上回る収益」に注目

そして、今年の変化として注目されるのが、「一貫した運用哲学のもとで運用がおこなわれている」という評価項目が前年に比べて本部職員の回答で10%ポイントほと上がったことだ。本部の回答が前年は41.8%だったが、今年は51.7%にジャンプアップしている。支店でも前年の25.3%が31.1%に上がった。「一貫した投資哲学」というフレーズは海外の歴史ある大手アクティブマネージャーが好んで使うフレーズだ。「優れた運用哲学をブレずに実践しているからこそ、市場平均を上回るパフォーマンスがある」とは、確たる実績がないと使えない。2022年はアライアンス・バーンスタインの「米国成長株投信」やフィデリティ投信の「テンバガーハンター」など、世界の運用市場でも選りすぐりの運用成績を残してきたファンドに、国内の人気も集まった。米国株式市場が変調し、インデックスファンドの運用成績が足踏みした1年であっただけに、一貫した運用哲学があり、かつ、市場平均を上回る収益を残しているファンドをピックアップしたいという販売会社のニーズが高くなったのだろう。

最後に、運用会社の外形基準ともいえる「経験年数や実績が豊富な運用者が多い」「複数の海外拠点など幅広い運用体制が整っている」「投資評価機関の評価が高いファンドが多い」という項目は、運用実績につながる前3項目よりは評価項目として重要度は低い評価になっている。また、この外形基準については本部より支店の評価が相対的に変化が大きくなっている。たとえば、「経験年数や実績が豊富な運用者が多い」という項目が、支店において前年比5%ポイントほど上昇した。2022年は米FRBをはじめ世界の中央銀行が金融引締めに動き、運用環境が厳しくなった1年だった。このような難しい局面にあっては、経験豊富な運用者に頼りたいという思いが高まるのだろう。