働かせ放題? 教師に残業代が支払われない理由

授業数の増加や新科目の新設で、現場の教職員の負担はますます増えているでしょう。文部科学省が2022年12月に設置した「質の高い教師の確保のための教職の魅力向上に向けた環境の在り方等に関する調査研究会」によると、小学校で月に約59時間、中学校で月に約81時間の時間外労働が発生している状況が示されました。

労働基準法では、月に45時間を超える時間外労働は原則として認められていません。しかし、学校現場では長時間の時間外労働が常態化しているようです。

さらに、公立学校の教職員には残業代が支払われないという事情も、教育現場を疲弊させていると考えられます。

本来、企業などに雇用されて働く場合、時間外労働は通常より割り増しされた賃金が支給されます。労働基準法の規定では、月に45時間までの時間外労働は25%、月に45時間を超える場合は25%より大きな率で割り増しされた賃金を支払うよう求められています。さらに時間外労働が月に60時間を超えた場合、雇用者は通常より1.5倍に割り増しした賃金を支払わなければいけません。

【労働基準法における時間外労働の割増賃金率】

※1.努力義務
※2.大企業のみ。中小企業は2023年4月より適用

出所:日本労働組合総連合会 労働相談Q&A 13.36協定と特別条項付き協定

このように、労働基準法は時間外労働に割増賃金を定めることで、雇用者が従業員を過度に働かせないよう促し、仮に長時間働かせる場合は相応の手当を支払わせ、従業員の立場を守っているのです。