岸田政権による「資産所得倍増プラン」の目玉の1つとして、NISA制度そのものの恒久化と、非課税期間の無期限化が確定した模様だ。本稿執筆時点では、適格商品の拡充や「成長投資枠」の扱い等、投資可能商品がどのように着地するかが明確になっていないが、積立を前提とするなら、既存の適格インデックスファンドは引き続き対象となる公算が大きい。
「新NISA」で対象ファンドの諸条件も変わるのか
一方、アクティブファンドについては、NISA制度そのものをつみたてNISAに一本化するのか、現行の一般NISAの機能を引き継ぐ「成長投資枠」が導入されるのかによって見方が変わる。つみたてNISAに一本化するとなった場合、現行のつみたてNISAのアクティブファンドの諸条件(信託報酬率:国内型で税抜き年1.0%以下、国際型で税抜き年1.5%以下、残高50億円以上、運用期間5年以上、運用期間中の3分の2以上で資金流入超)を緩和するかどうかが1つのポイントとなるだろう。
筆者はかねてこの条件、とりわけ信託報酬の基準について疑問を抱いてきた。保有期間中にかかるコストは低いに越したことはないが、そもそもアクティブファンドの場合、信託報酬の水準でファンドの良し悪しをはかることはできない。
また、現存するファンドの信託報酬率が基準の料率を超える水準だった場合、運用会社は新しくつみたてNISA向けに“低報酬版”のファンドを設定する必要があり、「一物二価」状態になるという問題もある。ともあれ、政府当局がアクティブファンドの信託報酬の妥当性にまで踏み込むとは思えず、少なくとも積立部分については、現行基準から大きく離れることはないと思われる。
一般NISAの機能を引き継ぐ「成長投資枠」が導入された場合、ハイリスク商品の扱いがどうなるかが焦点となるだろう。金融庁には、資産形成に必ずしも適さないブル・ベア(レバレッジ)型をNISAの対象商品から除外したいという思惑があるためだ。
なお、年間投資枠については、非課税期間が無期限化されることで引き上げられる可能性が高い。一部報道では、240万円という数字が示されていたが、少なくとも現行の年間上限よりは高くなるとみられる。