年金が減る? 選択制DCの注意点

近年は確定拠出年金を導入する企業が増えています。導入する事業所の数は2022年3月末までの10年間で約2.6倍に増加しました。

【確定拠出年金を導入する事業所数】
・2012年3月末:1万6576件
・2017年3月末:2万5968件
・2022年3月末:4万2669件

出所:企業年金連合会 確定拠出年金統計資料(2022年3月末)

確定拠出年金を導入する際、「選択制DC」が採用されるケースが少なくありません。選択制DCとは、従業員が掛け金相当額について、確定拠出年金に拠出するか給与として受け取るか選べる制度です。

選択制DCは、老後の公的年金が減ってしまう点は覚えておきましょう。選択制DCを通じて拠出した金額は給与と見なされず、社会保険料が減少するためです。

老後に受け取れる公的年金のうち、会社員などが加入する「厚生年金」の部分は、基本的に加入期間中に支払う保険料に比例します。従って、社会保険料が減少すると、将来の年金額も減ってしまうのです。

将来の年金を維持したい場合、給与として受け取り、iDeCo(イデコ)に拠出してみてはいかがでしょうか。個人型の確定拠出年金のことで、いったん給与として受け取るため社会保険料が下がりません。さらにiDeCoの拠出金は全額が所得控除となるため、節税の効果も期待できます。

ただし、企業年金の制度がある会社員はiDeCoに加入できないケースがあること、iDeCoは所定の手数料がかかることに注意してください。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。