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先日、企業年金の運用について、企業にも責任を負わせる方針を金融庁が示しました。報道によると、企業年金の運用は委託する金融機関に依存していることが多く、基金の運用商品が販売側の都合で選定されていたケースが多かったようです。

企業年金の運用を任せきりにしていた背景には、委託する企業の関心の低さがあるでしょう。今後は法律を改正し、企業に受託責任を負わせることで、企業年金が適切に運用されるよう促す狙いがあります。

企業年金の運用を巡っては、企業には「AIJ投資顧問事件」という苦い経験があります。高利回りをうたうファンドに年金基金の運用を委託し、その大部分が失われた事件です。当時も、企業の年金基金の運用に対する無関心な姿勢を指摘する声もありました。

12月16日は、AIJ投資顧問が破綻してちょうど7年目にあたります(破綻時の社名は「MARU」)。企業年金について理解するためにも、事件を振り返りましょう。

運用実績を偽って資金を集めた

AIJ投資顧問の疑惑が表面化したのは2012年2月です。証券取引等監視委員会が同社を検査し、虚偽の実績をうたって運用を募っていたことが発覚しました。

実際にはAIJ投資顧問は運用に失敗しており、年金基金の大部分が失われていました。自転車操業に陥ったのか、2009年以降は新たに受託した資金をそのまま払戻金に充てていた実態も明らかになります。AIJ投資顧問の代表らは詐欺の容疑で逮捕され、のちに実刑が確定しました。

AIJ投資顧問は2015年12月16日に破産手続き開始の決定を受け、約1300億円の負債を残し破綻します。AIJ投資顧問に運用を委託していた年金基金の数は84に上り、およそ88万人の加入者および受給者に影響が出る最悪の事件となってしまいました。

【AIJ投資顧問が預かっていた年金資産の概要(2011年3月末)】

出所:厚生労働省 AIJ投資顧問株式会社に投資残高のある基金について