成長が遅いのは「資源の呪い」のせい?
アフリカは、しばしば「資源の呪い」にかかっていると指摘されます。これは天然資源が豊かな国ほど経済成長が遅くなる現象を指す言葉です。ジェフリー・D・サックスとアンドリュー・M・ワーナーによって、天然資源輸出の割合が大きい国はそうでない国より経済成長率が劣る傾向があることが示され、広く知られるようになりました。経済成長には資源が豊富なほど有利に思えますが、実際にはそう単純ではないようです。
上述した3カ国はどうでしょうか。いずれも資源国で、日本への輸出品も天然資源が中心です。ただし、南アフリカは世界の主要な自動車メーカーが工場を置いている事情もあり、代表的な工業製品である「自動車」の輸出割合が比較的大きくなりました。
【対日主要輸出品目(2021年)】
・ナイジェリア:液化天然ガス(69.1%)、非鉄金属(18.1%)、原料品(12.6%)
・南アフリカ:非鉄金属(78.0%)、鉄鉱石(6.5%)、自動車(2.4%)
・エジプト:鉱物性燃料(79.5%)、食料品(8.1%)
出所:ジェトロ
1990年~2020年でGDPの推移を見ると、ナイジェリアの成長が目を引きます。ただし、ここ数年は停滞気味で、新興国としては平均的な水準にとどまりました。また南アフリカとエジプトは新興国全体を大きく下回っています。経済発展が期待される地域としては、やや物足りない水準といえるかもしれません。
【名目GDPの推移(米ドルベース 1990年を100とした場合)】