格差社会の経済大国・アメリカに見る「貧困の実態」

GDPで世界一を誇るアメリカでも所得の格差は大きい。約8人に1人が貧困状態にあり、空腹のまま床に就く人も多いとされる。光熱費などの支払いを優先し、食事を断念するためだ。

アメリカでは十分な教育の享受が、収入の高い仕事に就けるか否かのカギとなる。貧困家庭に育った子供は高等教育の機会に恵まれず、賃金の安い仕事に就かざるを得ない。次世代へと連鎖する貧困が少なくなく、大きな課題だ。

貧困の第二の要因として挙げられるのが、離婚の増加による単身の親、特に母親と子供世帯の存在だ。女性にとっては男女の賃金格差がある上に、子供の病気はもとより老親の親に対する看護などで仕事を離れざるを得ない人も多く、仕事の中断から収入は少なくなりがちだ。

第三の要因として、企業年金分野での変化が挙げられる。退職後の年金給付につき企業が責任をもって準備をする確定給付年金から、企業は一定の拠出をするが、将来の年金額は従業員の運用の巧拙次第という確定拠出年金にシフトしていることが大きい。なかには、退職準備の貯蓄すらしておらず退職という選択肢さえ閉ざされた人も多い。

そんなアメリカはホームレスの人数も日本の比ではない。ネット販売の普及等で販売が急減し廃墟となったショッピングモールがホームレスのシェルターになっていることも多い。廃屋となった建物に身を寄せる人、簡易宿泊所や友人や親戚宅で寝泊まりする人もいる。

失業したために住宅費が払えなくなったり、災害に遭遇したりしてホームレスになる人、さらには大学生のホームレスもいる。親が失業したため仕送りが期待できなくなった学生、アルバイトの口がなくなり住宅費が払えなくなった学生、学生寮での友人とのいざこざから寮を退出せざるを得なくなった学生たちだ。