投資妙味の高い企業を発掘し、隠れた割安株に投資

運用に際しての基本的な考え方は、「流行に左右されず、市場が気付いていない隠れた成長企業に割安な株価で投資する」というものだ。フィデリティは、ボトムアップで投資妙味の高い企業を発掘することに定評がある。

同ファンドの運用は、フィデリティが1989年12月から運用している「フィデリティ・ロープライス・ストック・ファンド」と同様の運用担当者、投資哲学、運用戦略が用いられている。アクティブ型の場合、過去の長期的な運用実績を見なければ、そのファンドが買うに値するかどうか判断しにくいものだが、同ファンドには、すでに30年超の運用実績を持つ参考ファンドが存在しているわけだ。

「フィデリティ・ロープライス・ストック・ファンド」の運用実績は極めて優秀で、1989年12月から2022年2月末までの投資成績はナスダック総合指数の約31倍、米国株式(S&P500)の約25倍、グローバル株式(MSCIワールド・インデックス)の約11倍を大きく上回る約57倍を達成していて、S&P500などの株価インデックスをはるかに上回っている。フィデリティのアクティブ運用におけるノウハウの高さがうかがわれる。

この優れたパフォーマンスを支えるのが、北米、欧州、日本、アジア太平洋に360名ほど配置されている運用調査プロフェッショナルの存在だ。彼らの徹底した企業調査が、市場平均を大きく上回るリターン。それがそのまま「フィデリティ・世界割安成長株投信(愛称:テンバガー・ハンター)」の最大の魅力になっているといっても良いだろう。

彼らの運用に臨むスタンスは極めてリアルだ。成長株投資を行う運用者のなかには、「5年後の利益で見れば今の株価は割安」という理屈を述べる人もいるが、5年後の利益が現時点で確実に分かるなら、誰でも金持ちになれる。

同ファンドの運用チームは、はっきりと「5年後の利益がどうなるのかを現時点で確実に予測するのは不可能」と言い切る。彼らが投資対象とみなすのは、現在の株価水準が、現在の利益水準と照らし合わせて十分に割安かどうかだ。

もちろん、ただ単に株価が割安というだけでは投資対象にならない。フィデリティの一時代を築いた「マゼランファンド」の運用者であるピーター・リンチ氏が言うように、「利益が伸びない会社の株式に投資する価値はない」からだ。