スマートフォンやパソコンなど情報端末の普及とともに、現代は情報過多ともいえる状況となりつつあります。その状況の訪れは資産形成や投資の分野も例外ではありません。

玉石混交ともいえる情報が氾濫している中、自身の資金プランや投資行動においてどの情報を参考にすればいいのかと困惑した経験のある人は少なくないでしょう。

小倉健一氏の著書『週刊誌がなくなる日 -「紙」が消える時代のダマされない情報術 - 』では、メデイアを取り巻く昨今の環境についての詳細から、自分に必要な情報を取捨選択する力を磨く方法まで解説されています。今回は特別に、第3章「儲かるメディア、死ぬメディア」、第4章「デジタル化で起きる大問題」の一部を公開します(全3回)。

※本稿は小倉健一『週刊誌がなくなる日 -「紙」が消える時代のダマされない情報術 - 』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。

メンヘラを生む「人と会わない、表情が伝わらない会話」

声が聞こえづらい、表情がわからないーー。「世界一マスクをしている国」といわれる日本。2020年からの新型コロナウイルス感染拡大で、人々の「顔」は見えなくなった。保育園や学校、スポーツ教室では子供たちとの距離感に悩まされ、身体が触れ合うコミュニケーションの制限が発達に負の影響をもたらすことを不安視する。だが、どこを探しても品切れ状態となるまで急激に広がった「マスク文化」は簡単には消えそうにない。

国は感染対策として不織布のマスク着用を推進してきた。安倍晋三政権時代には「アベノマスク」と呼ばれる布マスク2枚を配り、「マスク切れパニック」に陥る国民に安心感を与えようとしたほどだ。

米国のイェール大学などが科学雑誌「サイエンス」で発表した調査結果によると、バングラデシュで2020年11月から半年間かけて行った調査ではマスク着用率が高い地域は新型コロナ感染者の割合が低い傾向が見られたという。

航空機や電車の中などでマスクを着用しない人は問題視され、事件に発展することも珍しくはなくなった。予防効果があることに加え、法規制がなくてもマナーを重視する国民性は日本の大きな特徴だ。

市場調査を得意とする日本リサーチセンターが英国の調査会社「YouGov」社と実施した調査によると、公共の場でマスクを着用すると回答した人の割合は2021年4月が89%、2022年4月は87%で、14カ国・地域の中で最高水準にある。同じ条件で比較すると、米国は「69%→45%」、ドイツは「71%→52%」、フランスは「79%→59%」と急減している。比較的高いアジア地域を見ても、香港「90→75%」、フィリピン「85%→75%」などと減少傾向にあり、いまだ9割近くを維持する日本は突出していることがわかる。

本格的な夏到来を前に、国は熱中症対策の観点からマスク着用への注意を促す。「屋外では人との距離が確保できる場合や、会話をほとんど行わない場合はマスクを着用する必要はありません」「屋内では、人との距離が確保できて、かつ会話をほとんど行わない場合はマスクを着用する必要はありません」(厚生労働省)。

しかし、時事通信による2022年6月の世論調査では、今後も「屋内は着用すべきだが、屋外は着用しなくてもよい」との回答が過半数を超えた一方、「屋内外とも着用すべきだ」も34.6%に上る。

暑い、むれる、息苦しい。マスクを着ける人々が感じるマイナス点はほぼ共通する。しかし、いざマスクを外してもいいと言われると、戸惑いを見せるようになった。読売新聞が2022年6月に実施した世論調査では、マスクを「できるだけ着けたくない」はわずか9%だった。「できるだけ着けたい」は41%、「必要なときだけ着けたい」も49%と高い。特に女性では「できるだけ着けたい」が5割に上る。化粧の時間が省けるとの理由から「脱マスク」への抵抗感も根強い。