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英国では高齢期の孤独が国レベルでも注目されている
英国は2018年に孤独問題担当国務大臣を任命して、世界に驚きを与えました。高齢者について、転倒予防や認知症といった問題に対処するための対策だけでなく、孤独・孤立への対策も始まっています。
社会的孤立は1日15本の喫煙と同じくらい健康に害があるという研究結果もよく紹介されており、健康問題の1つとして捉えるようになっています。「孤独を終わらせる」キャンペーンのHPによると、電話やSNSで友達と連絡したり、新しいつながりを作るために時間を使ったり、深いつながりだけでなく店員やバス停で会った人とちょっとしたあいさつをすることや、SNSで新しい友達を作ることなどが提案されています。
特に男性に向けての取り組みとしてオーストラリアで始まった「Men’s Shed」は、男性同士のコミュニケーションはface to faceではなくてshoulder to shoulderだ、という考え方で、一緒の小屋(shed)でものづくりをする中でつながりが生まれることを目指しており、英国をはじめヨーロッパにも広がっています。
孤独死・孤立死にははっきりした定義はない
日本で孤独死が初めて注目されたのは1970年代です。当時はまだ、家族が高齢者の世話をし、最期も家で亡くなることが多い時代でした。そんな中で、都会では誰も見守る人がいない状況で亡くなる人がいる、ということがショッキングなこととして受け止められたようです。
今や高齢の1人暮らしは普通のことになりつつあり、家で1人で亡くなることがそのまま「よくないこと」とは受け止められなくなっています。1人でいること=孤独は悪いことではないけれど、社会との接点を失った結果、死後長期間誰にも気付かれないようなことは避けるべきだという考え方で「孤立死」として呼び分けられています。ただし、長期間というのが何日なのかがはっきり決まっておらず、また多くの自治体では、1人で亡くなった方について、どのくらい経過して発見されたのかを確認するすべもないので、はっきりした実態は分かっていないのが現状です。