貸借対照表で「企業の安定性」が分かる
貸借対照表とは企業の資金調達や運用状況といった財政状態が示された書類だ。必要以上に負債が膨れ上がっていないか、資産を適切に運用することで利益を上げられているかなど、貸借対照表を通じて経営の安全性を判断できる。
貸借対照表は大きく左右に分かれている。左側には企業の保有する資産が、右側にはその資産の調達方法が記載されているのが特徴だ。左右の合計額が必ず一致することから、バランスシート(B/S)とも呼ばれる。
左側は「資産の部」といい、企業がどのような形で資産を持っているかが示される。たとえば、1年以内に現金化できる現金や売掛金などは流動資産として扱われる。それに対し、土地や設備などの有形資産、特許権や商標権などの無形資産、投資有価証券など即座に現金化することが難しい資金は固定資産として扱われる。
対して右側は資金調達の方法に応じて、返済の必要がある「負債の部」と、株式資本などの基本的には返済義務のない「純資産の部」に分かれる。「負債の部」のうち1年以内に返済が必要なものは「流動負債」、それ以降に返済するものは「固定負債」となる。
貸借対照表では特に以下の2つをチェックしておきたい。
1. 「流動比率」の高さ
2. 「固定資産比率」の低さ
1つ目の流動比率は「流動資産÷流動負債」で求められる。流動比率が高ければ高いほどすぐに現金化できる資産が多く、債務の支払いも滞りなく行えると考えられるだろう。つまり流動比率からは、短期的な企業の安定性がわかるのだ。
2つ目の固定資産比率は「固定資産÷純資産×100」によって算出される。固定比率が100%を超える場合、資金のほとんどを借金に依存している状況だと読み取れる。逆に低ければ資金の多くを自己資本で賄えていることとなり、長期的に安定していると判断できる。