NISAを通して、投資への意識が劇的に変わる…!?

最後に、実際にNISAを利用した20代の皆さんは、どんなふうに投資のことを考えているのでしょうか? 言わば、NISAのBefore/After、そんなことを探ってみました。

“Before NISA”では、投資は必要だと思うけど、投資になかなか踏み出せない、そんな状態だと思います。なぜ、投資に一歩踏み出せないのか、金融庁による前回調査(金融庁「国民のNISAの利用状況等に関するアンケート調査」〈2016年2月〉)によると、その理由は「まとまった資金がないから」「投資の知識がないから」「投資は損をしそうで怖いから」。私はこれを人が投資をしない3大理由と呼んでいますが、“After NISA”でその意識がどのように変わっているのでしょうか。今回のアンケート結果(下表)と比べると、特に20代、30代の変化が面白いですね。

 

NISAを始めた結果として、投資は少額から始められること(上表の①、以下同じ)、知識としての長期投資や分散投資の大切さ(②)、そして、やってみたら投資はそれほど怖いものではなかった(⑤)、そんな気づきを得ているみたいですね。

つまり、投資をしない3大理由が、NISAを実際にやってみることで全て解消されているのです。要は、投資は「習うより、慣れよ!」、そういうことなんだと改めて思いました。

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以上、最近公表されたアンケート調査結果をもとに、NISAで投資をしている20代の皆さまのリアルを探ってみました。

NISA制度の認知と利用が広がっていますが、その実態は、特に20代や30代の若い世代を中心に、つみたてNISAという制度が支持されている、そういうことだと思います。

そして、貯蓄意識で預貯金代わりにNISA(特に、つみたてNISA)を利用している、そんな20代の利用実態が広まることで、「投資」という言葉にハードルを感じている若い人たちの中からも「まずはつみたてNISA、やろうかな?」なんて思いが芽生えてくるのではないでしょうか。さらには、実際にNISAを利用すると、投資に対するイメージが、ほぼほぼポジティブになる、そんな好循環がNISAという制度にはあるのです。これは最近までの世界的な株高が味方している、ということだけではなく、つみたてNISAが「長期・積立・分散投資」という投資の3大原則をうまく組み込んでいる、そんな制度だからだと思います。そして、岸田首相が掲げる「資産所得倍増プラン」における、さらなるNISA改革にも大いに期待したい、そんなふうにも思います。

●後編では、「NISAを活用していない派」の声から透けて見える課題について考察します>>