ワンルームマンション投資は1棟全体を取得する場合に比べて投資金額が少ないため、サラリーマンにも人気の不動産投資です。ただ「取り組みやすい」といっても知識なしで始めるにはリスクが多く、失敗例を耳にすることも多いのではないでしょうか。
FPである筆者も一定の割合で、ワンルームマンション投資にまつわるご相談をいただきます。今回はそうしたご相談のなかでもひときわ印象的だった事例をご紹介します。
終の棲家を心待ちにしていた相談者を襲った、衝撃の事実
ご相談者の奥村恵美子さん(仮名)は、関東のとある地方都市在住の57歳の専業主婦です。夫の亮介さん(59歳、仮名)は、一部上場のメーカーに勤務する営業職の転勤族。亮介さんは現赴任地を最後に定年となり、その後は東京にマンションを購入して夫婦で老後生活を送るつもりです。お子さん2人(長女・次女)はそれぞれ社会人となり、別々の土地で生活しています。
恵美子さんにとって、転勤族の夫について行く生活にはストレスが多く、ようやく定住できることを心待ちにしていました。最近では何回か東京に出かけて、終の棲家となる物件探しを始めているところです。しかし、そんな恵美子さんは「青天の霹靂」ともいうべき、驚きの事実を知ることになります。
なんと、亮介さんが、恵美子さんに黙って都内に投資用のワンルームマンションを購入していたことが発覚したのです。発覚のきっかけは見知らぬ会社からのダイレクトメールが何件も来るようになったこと。不審に思った恵美子さんが問い詰めると、亮介さんは投資用マンションを買ったこと、ダイレクトメールは物件の買い取りを希望する業者からのものであることを明かしました。さらに、購入資金は預貯金と、定年後も続く不動産投資ローンでまかなったというのです……!