地方議会議員の年金も財政悪化で廃止に

一方、地方議会議員の場合は、1961年7月に任意の互助年金として開始した後、1962年12月に地方議会議員年金として強制加入の制度となりました。地方議会議員年金(退職年金)の受給に必要な議員の在職期間は12年で、受給開始の年齢については、1995年改正以降は原則65歳となっていました。また、在職12年未満の場合でも3年以上在職している場合は在職期間に応じた退職一時金が支給されました。

その掛金は標準報酬月額(議員報酬を元に決定された額)に掛金率を掛けて算出し、また、特別掛金として期末手当に掛金率を掛けて算出するという、厚生年金と似たような仕組みを採っており、実際に受給できる退職年金についても、平均標準報酬年額や乗率を用いて計算されます。退職年金の平均額は、都道府県議会議員が年間194万円、市議会議員が年間103万円、町村議会議員が年間68万円となっていました(2011年3月末時点、総務省「(旧)地方議会議員年金の概要」より)。

こちらも加入者からの掛金のみではなく、地方公共団体による公費による負担(都道府県:約42%、市町村:約39%〈特例あり〉)もありましたが、議員特権であるとの批判に加え、財政悪化(市町村合併による議員数の減少による掛金の減少、積立金の枯渇)を理由として、給付水準の引き下げ等を行いながら廃止に至りました(※廃止前の加入期間分について、年金の支給、一時金での精算など、廃止による措置はあります)。

今後、何らかの形で議員向け年金制度が復活する可能性も…?

参議院選挙投票日を目前とした中、議員の年金について取り上げてみました。

批判が大きかったことから廃止されましたが、国会議員、地方議会議員ともに現職のまま亡くなることもある一方、引退して年金に頼る生活を送ることもあるでしょう。引退した元議員にとっても、年金収入は老後生活の重要な基盤であることは私たちと変わりません。議員年金が廃止されて10年以上経過していますが、昨今、議員年金を復活させようという議論も出てきています。当然のことながら、その復活には反対意見も多数出ています。一方で、地方議会の人材確保という点から地方議会議員を厚生年金の加入対象とするべきという意見もあります。

今後の議論次第では、議員のための年金制度が変わることも予想されます。ウォッチしてみるのも面白いかもしれません。