人生100年時代――老後に備え老後資金準備を進めることと同じくらい大事なのが、「長く意欲的に働く」こととされています。70 歳までの就業機会の確保を企業に求める「改正高年齢者雇用安定法」もその流れを後押し、意欲のある人はエイジレスに活躍できる時代に転換しつつあります。
一方、数年~10年後に60代を迎える「バブル入社組」ミドルシニアの中には、定年後の働き方、キャリアの切り開き方が分からないと悩む人も多い模様です。
話題の書籍『定年NEXT』の著者・池口武志氏は、そんな悩めるミドルシニアにとって大きなヒントになるのは「ロールモデル」の存在だといいます。『定年NEXT』には、若い人にはない経験と知恵、人脈を生かし、人と人、組織と組織を「繋ぐ」働き方で輝く24人の「リエゾンシニア」たちが、どう自身のキャリアに向き合い、切り開いてきたのかに迫るインタビューが掲載されています。
そんな『定年NEXT』より、今回はミドルシニアの“働く”を取り巻く環境の大きな変化について解説した第1章の一部を特別に公開します(全3回)。
※本稿は池口武志『定年NEXT』(廣済堂出版)の一部を再編集したものです。
大量採用世代がボリュームゾーンへ
バブル期の大量採用世代が数年後から10年後にかけて60歳を迎えます。大半の大企業が業種を問わず、大量採用世代の処遇や活用について頭を悩ませ、様々な人事対策に乗り出しています。その世代を70歳まで一律的に雇用し続けることは、企業にとっては厳しいものがあります。
現在の60歳以降の従業員はそれほど多くはありませんが、大量採用世代は全従業員の2割を占めるとも言われます。もちろんその中には会社にとって有用な人材もいれば、巷で“妖精さん”と呼ばれる仕事に対する意欲が薄い人たちもいます。企業としては従来のように福祉的に雇用する余裕はありません。戦力にならなければ人件費の持ち出しになりますので、「早期退職勧奨」の高止まりは続くとの見方もあります。
もちろん、今後10年ではなく、20年先を見据えると、労働力不足が進行し、高齢層を含めて働き手をキープしないといけません。企業は目先の大量採用世代にいかに対応していくか、また、その先の労働力不足という2つの時間軸の中で人材戦略を構築する課題を抱えています。