分配金を再投資するとNISAの枠を消費してしまう盲点に注意
しかし、この「再投資型」もNISAで投資する場合は特に要注意です。
分配金を受け取らず再投資した場合、新たな投資を行うことになってしまうため、その分のNISAの非課税枠を使ってしまうことになります。
毎月決算・毎月分配型のファンドで毎月再投資を行うことになると、気が付いたら非課税投資枠を多く消費してしまうこともあるでしょう。すでに1年間の非課税枠(120万円)を全て使って投資している場合は、非課税枠で再投資することができなくなります。非課税枠を超えた分は課税口座で再投資がされるといった扱いになります(金融機関によって異なります)。
また、先ほどもお伝えした通り、元本払戻金は元本の払い戻しとなりますが、払い戻されたからといって、その分、その年の非課税枠が戻るわけではなく、非課税枠は使ったままの扱いとなってしまいます。
そのため、分配型ファンドを選ばれる場合は分配金の受取型 or 再投資型の選択と、再投資型を選んだ場合には非課税枠の“消費ペース”に目を配ることが重要になってきます。
ここまでは分配金がある場合の話をしてきました。
ただ、竹田さんご自身も冒頭の「お悩み」の箇所で、「分配金がないファンドもある」とおっしゃっている通り、そもそもの話にはなりますが「極力分配金を支払わない方針※(≒分配金がない)」の投資信託を選ぶという考え方もご紹介します。
※「無配当型投資信託」と呼ばれる投資信託もありますが、一定期間しか購入できない「単位型」の投資信託にほぼ限られます。ただ、今回のご相談で扱い、実際に多くの方が購入しやすいのは「追加型(オープン型)投資信託」で、そのほとんどは「信託期間が無期限」のため、「極力支払わない方針」という表現になります。
分配金の再投資によって先述の通り“図らずも”NISAの非課税枠を使ってしまう事態を避けつつ、複利効果を狙うにはこちらもおすすめです。
そんな「極力分配金を支払わない方針の投資信託」はどう探せばいいのでしょうか。結論から言えば「目論見書で決算回数、収益分配方針、過去の分配実績を確認する」になります。
分配金の有無や金額を決める決算の回数は高頻度のものよりも、年1~2回のほうが分配金が払われる可能性が低くなります。
続いて、目論見書の「収益分配方針」の項目でその投資信託の分配金のスタンスを確認します。併せて過去の分配実績も見て、基準価額が上がっていても分配金「0円」であれば、あくまで過去の実績にはなりますが、確かに方針通りに分配金を抑制してきたのだろうと確認できます。
また、こうした「極力分配金を支払わない方針の投資信託」は「つみたてNISA」の商品ラインナップに多く、今後は「一般NISA」から、「つみたてNISA」口座に変更するのも一考に値します(一般NISA継続かつみたてNISAに変えるかは、投資信託以外に個別株も所有されたいか、1年あたりどれほどの投資額が出せるかによりますので、ご参考までにお伝えしました)。