共産党大会の注目ポイントは経済対策注目

前述した景気後退の懸念から、中国では金融緩和や住宅ローン金利の引き下げなどの経済対策が行われている。追加でさらなる施策が打ち出されれば、中国経済のみならず日本企業の業績を下支えするきっかけになるかもしれない。

2022年秋には「中国共産党全国代表大会」が控えている。大会では国家の運営方針や党の指導者が決定される予定だ。3期目を確定させた習近平国家主席が党大会を迎え、経済対策に本腰を入れるかどうかに注目したい。

また、「ゼロコロナ政策」の行方も重要な焦点といえる。一時的にロックダウンが解除されたとしても、政策が堅持されるならば感染拡大で再び大規模な都市封鎖が行われる可能性もある。

厳格なコロナ対策を継続する背景には、中国共産党および習近平国家主席の面子(メンツ)が関係している。中国では2020年のパンデミック初期において「ゼロコロナ政策」が功を奏し、欧米諸国に比べて感染者数が抑制傾向にあった。政権を握る中国共産党は、優れた政治体制によってコロナに打ち勝ったと大々的に発表していた。

ところが2021年から感染力の強いデルタ変異種が流行し出すと、感染者数が増加傾向に。さらにオミクロン変異種の到来により、感染拡大に歯止めがかからなくなってきた。一度「ゼロコロナ政策」の優位性を示した手前、感染症と上手く付き合いつつ経済を回していくウィズコロナへの方針転換は党の体面に関わる。そのため過度な感染症対策を撤回できないままでいると考えられる。

とはいえ、度重なるロックダウンにより経済は壊滅的な被害を受け、中国国民の疲弊・不満も高まりつつある。現実的ではないとの認識が高まる「ゼロコロナ政策」から、どのように軌道修正がなされていくかが今後のポイントとなるだろう。

投資家目線では経済活動の正常化による、中国への依存度が高い企業の業績回復やインバウンド需要の増加などにも注目していきたい。