中国の景気減速が長期的な懸念材料に

ロックダウンと関連して日本企業の長期的な不安材料となっているのが、中国経済の減速だ。もともと中国では、ここ1年あまり経済の下押し要因が相次いでいた。

2021年半ばに取り沙汰されたのが、中流階級の拡大を目指す中国政府の「共同富裕」政策である。格差拡大を助長させていると見なされるIT企業などへの監督・規制を強化したことで、企業活動が萎縮してしまった。不動産大手、中国恒大集団のデフォルト(債務不履行)危機により不動産市況も悪化。目先ではウクライナ危機による資源価格の上昇も、世界有数のエネルギー消費国である中国に打撃を与えている。

経済に追い打ちをかけるように発生したのが、今年の中国主要都市のロックダウンである。中国国家統計局が発表した2022年4月の経済統計では、各経済指標は軒並み低迷。物流の混乱などから、生産動向を示す工業生産は前年同月比マイナス2.9%と約2年ぶりの落ち込み幅となった。自動車やエアコン、集積回路といった主要な機械製品の生産量は、前年同月の半分以下となっている。

さらに、市民の行動制限による消費減退で小売売上高はマイナス11.1%、サービス業生産指数がマイナス6.1%となるなど、非製造業も不振。労働市場の悪化も加速し、失業率は6.1%と半年にわたり前月を上回っている。

ロックダウンによるサプライチェーンへの影響は一過性との見方があるが、景気の減退は継続的なトレンドとなり得る。中国経済が傾けば対日輸出量の減少により、日本企業の生産活動の長期停滞も懸念されるのだ。中国国民の家計が冷え込み、日本のインバウンドといった消費需要の減退につながる恐れも考えられる。