トラブルは2002年から…みずほ銀行システム障害の歴史

金融やITに詳しくない人も「みずほ銀行といえばシステム障害」というイメージを持っているのではないでしょうか。2022年2月までの1年間で立て続けに11度のシステム障害を起こし、2021年9月には金融庁が業務改善命令を出しました。銀行のシステムに金融庁が関与するのは異例です。

実はみずほ銀行は営業初日からシステム障害を起こしています。2002年4月に新生みずほ銀行としてスタートした日にATMが一部ストップし、二重引き落としや遅延などの異常な処理が250万件にも上りました。

どうしてこれほどみずほ銀行のシステムには異常が起こるのでしょうか。2021年11月に再び出された業務改善命令において金融庁は以下のように厳しい言葉で指摘しています。

当庁としては、これらのシステム上、ガバナンス上の問題の真因は、以下の通りであると考えている。
(1)システムに係るリスクと専門性の軽視
(2)IT現場の実態軽視
(3)顧客影響に対する感度の欠如、営業現場の実態軽視
(4)言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない姿勢

引用:金融庁 みずほ銀行及びみずほフィナンシャルグループに対する行政処分について

金融庁は技術的な指摘にとどまらず企業風土そのものを厳しく断じました。特に「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない姿勢」という言葉は国が私企業に向けるものとは思えません。それだけ金融庁も事態を深刻視したのでしょう。

みずほ銀行は業務改善命令を受け今年1月に業務改善計画を提出しました。システムやガバナンスの強化などの改善を行うとした内容で、現在グループ全体で取り組んでいます。

2024年度上期には“みずほ銀行の父”渋沢栄一が描かれた新1万円札が発行されます。みずほ銀行は無事に父を迎え入れることができるのでしょうか。日本最古の銀行が試されています。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。