純資産総額の規模が小さい投資信託会社の業績は厳しい?
投資信託会社は、運用している投資信託から得られる信託報酬を売上高にしています。そして信託報酬は、純資産総額に信託報酬率を掛けて算出されますから、純資産総額の規模が大きくなるほど、投資信託会社の売上高も増えることになります。
逆に言うと、運用ファンドの純資産総額が小さい投資信託会社は、得られる信託報酬の額が少なくなるので、業績が厳しくなると考えられます。
ちなみに2022年2月末現在で、運用している投資信託の純資産総額が100億円に満たないところは、
ユニオン投信・・・・・・95億1600万円
アバディーン・ジャパン・・・・・・94億2600万円
BNPパリバ・アセットマネジメント・・・・・・84億3500万円
農林中金バリューインベストメンツ・・・・・・73億2300万円
NNインベストメント・パートナーズ・・・・・・59億900万円
トラノテック投信投資顧問・・・・・・39億6800万円
モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメント・・・・・32億5100万円
MFSインベストメント・マネジメント・・・・・・27億5300万円
SBIボンド・インベストメント・マネジメント・・・・・・22億9600万円
sustenキャピタル・マネジメント・・・・・・21億6900万円
ソシエテ・ジェネラル・オスマン・マネジメント・・・・・・13億5400万円
SBI地方創生アセットマネジメント・・・・・・7億6200万円
HCアセットマネジメント・・・・・・1億3300万円
アクサ・インベストメント・マネージャーズ・・・・・・1300万円
PGIMジャパン・・・・・0円
あいグローバル・アセット・マネジメント・・・・・・0円
あくまでも上記の純資産総額は、個人向けに公募で販売されている投資信託の純資産総額であり、他に大口の法人投資家である機関投資家向けに運用ビジネスを展開しているケースもあるので、その額が小さいからといって一概に経営が厳しいと言うつもりはありません。また、農林中金バリューインベストメンツやHCアセットマネジメント、sustenキャピタル・マネジメントなどのように、個人向けの公募投資信託を運用し始めたのがここ数年で、すでに機関投資家向けの運用を行っていたり、個人向けのみの運用でも、これから純資産総額を伸ばしていく可能性のある投資信託会社もあります。今ではある程度の規模になったコモンズ投信や鎌倉投信などの独立系投資信託会社も、最初は非常に少ない純資産総額からスタートしました。
しかし、会社設立から10年以上が経過しているにも関わらず、純資産総額が100億円に満たないところでかつ個人向けの運用のみというところは、経営面で苦戦していると推察されます。
投資信託会社が倒産しても投資家の資産は保全されますが、繰上償還された場合、投資家が購入した時の基準価額次第では損失が生じることもあります。それだけに、運用成績などを見て購入する投資信託を選ぶことも大事ですが、同時にどの投資信託会社が運用しているのかもチェックする必要があるのです。