業界再編後も「野村一強」に近い圧倒的な純資産総額の差

ただ、これを純資産総額ベースで見ると、いささか状況が変わってきます。これも2022年2月末の数字ですが、野村アセットマネジメント、大和アセットマネジメント、岡三アセットマネジメントの3社が運用している株式投資信託、公社債投資信託の純資産総額は、合計で63兆5523億円になります。

これに対して86社全体の純資産総額合計は154兆5153億2500万円ですから、この3社だけで実に41.13%ものシェアを持っていることになります。逆に言えば、58.87%のシェアを83社もある投資信託会社で分け合っていることになります。

メディアなどを通じて得ている情報だと、インターネットで購入できるローコストのインデックスファンドが話題になったり、独立系投資信託会社のセミナーが開催されて盛況だったりする話をよく耳にしますが、実際に集めている資金の量で見ると、圧倒的に証券会社系の投資信託会社に資金が集まっているのです。

ちなみに証券会社系3社の株式投資信託、公社債投資信託の純資産総額を会社別に比較すると、以下のようになります。

野村アセットマネジメント・・・・・・42兆357億7700万円
大和アセットマネジメント・・・・・・20兆6202億2500万円
岡三アセットマネジメント・・・・・・8962億9800万円

あらためて説明するまでもなく、圧倒的に野村アセットマネジメントに資金が集まっています。新規参入や業界再編によって多様化が進んできた印象のある投資信託会社ですが、現実は「野村一強」に近い状態が、今も続いているのです。

このような勢力図を見ると気になるのが、野村アセットマネジメントや大和アセットマネジメントを除く、84社の業績です。岡三アセットマネジメントは、野村アセットマネジメントや大和アセットマネジメントと同じ証券会社系ですが、純資産総額の規模が同2社とは比較にならないほど小さいので、以下の話では、その他84社のうちの1社と見なし解説したいと思います。