誰もが銀行や証券会社の窓口で購入できる公募型投資信託の本数は、2021年12月末時点で5923本もあります。これでも直近でピークをつけた2018年5月末の6154本からすれば減りつつありますが、6000本近くもあると、どのような投資信託が運用されているのか、その全体像を把握するのは、非常に難しくなります。

投資信託販売のビジネスモデルの基本

恐らく、自分から積極的に投資信託の情報を幅広く集めて、そこから購入したい投資信託を選んだという人は、どちらかというと少数派ではないでしょうか。これは、投資信託協会が定期的に行っている「投資信託に関するアンケート調査報告」の結果を見れば、察することができます。

同協会が2020年11月10日から16日にかけてインターネットで実施した調査によると、投資信託の興味・関心・購入のきっかけを聞いたところ、全体の40.0%が「金融機関の人に勧められて」と回答しました。投資信託は株式と違い、どの証券会社でも同じ銘柄を買えるというわけではありません。たとえばトヨタ自動車の株式を買う場合は、どの証券会社に口座を開いても買うことができますが、投資信託は窓口となる金融機関が違うと、買える投資信託も異なってきます。

なぜなら投資信託は、それを設定・運用する投資信託会社と、特定の販売金融機関の間で契約が結ばれて販売窓口が決まるからです。複数の販売金融機関を通じて販売される投資信託もあれば、特定の販売金融機関でしか購入できない投資信託もありますが、いずれにしても株式のように、どの販売金融機関に行っても同じ投資信託が買えるわけではないのです。

ということは恐らく、「金融機関の人に勧められて」投資信託を購入した大半の人は、その販売金融機関で扱っている投資信託の情報しか把握できていない状態で、投資信託を選んでいることになります。仮に、その販売金融機関で扱っている投資信託の本数が50本だとしたら、全体から見れば120分の1程度の情報にしか接していない状態で、自分の大切なお金の運用先を狭められている状態です。しかし、それではあまりにも情報不足というものでしょう。