2022年に入ってから、トレンドは変わった?

2022年に入り、バリュー株のリターンが好調となる一方、グロース株は苦戦を強いられており、グロース株の長期にわたる覇権にピリオドが打たれる可能性はあるでしょう。実際、バリュー株の2022年1-3月のパフォーマンスが市場全体を4.6%上回っているのに対し、グロース株は市場全体を4.6%も下回っています。指数ではなく、運用商品の実績を見ても同様です。

これらのバリュー株の運用商品の反発は、循環的な回復やインフレ期待の高まりといった環境と関係していると見られており、バリュー株商品にとってはようやく見通しが明るくなってきた、一つの証左と言えます。

バリュー株の見通しが変化しつつあることに伴い、ここ数年、低迷していたクオンツ(システム運用)型の運用商品の実績も上向いています。これまでアナリストが分析を行うファンダメンタル型の運用商品が好調でしたが、足元は苦戦しており、その関係性は2022年に入り逆転しています。

つまり、これまで優位だった、ファンダメンタル/グロース株からクオンツ/バリュー株にトレンドが変わりつつあるということです。そのトレンドは暫定的かもしれませんが、現在の市場環境は、バリュー株商品やクオンツ商品の見通しが、これまでよりも明るくなっていることを示していると思われます。

これらを踏まえると、ここから先は、バリュー株に対して一定程度配分することが妥当なのかもしれません。もちろん、上述のバリュー株の構造的問題は依然存在しますが、割安であること、バリュエーションの銘柄間格差が大きいことに加えて、インフレ期待が高まっていることで、バリュー株のポテンシャルはここ数年で最も高まっていると言えるでしょう。もっとも、バリュー株が有利となるタイミングをピンポイントで当てることは非常に困難ですから、ここは原理原則に立ち返り、バリュー株とグロース株にしっかりと分散投資すべき局面だと考えます。